日本人女性ではかなり多くが真っ直ぐな足では無いという傾向にあるブログ:2014-06-09
一週間ほど前、小学生のムスメが、
「うちのおじいちゃんって、ふつうのおじいちゃんとなんか違うよね…」
申し訳なさそうに、小さな声で僕に囁いた。
「ふつうの」という表現に、
僕は吹き出しそうになりながらも、
その理由を尋ねた。
ムスメは少し間をおいて答えた。
「だって、悪いことをしたら目を三角にして怒るし、
謝るまで絶対に許してくれないもん」
「ふつうのおじいちゃんたちは、そこまでマジにならないしね…」
と畳み掛けてきた。
確かに僕の親父は、
大きな体質に仁王様のような鋭い眼光で、
一見他を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。
七十歳を前にして体力が衰えてきたとはいえ、
その風格は昔となんら変わりはない。
そんな親父を、ムスメたちもまた一線を画して見ていたのだ。
僕は自分が娘だった頃の親父を思いだした。
厳しく、寡黙な親父だった。
筋の通らないことをしようものなら、
容赦なく大きな平手が飛んできた。
僕は無性に怖かった。
でも一方で、そんな親父を誇らしく思う自分がいた。
それは、言動の端々に
親父の人情深い側面を見ていたからかもしれない。
こんなことがあった。
かつて消防署員であった親父が
救助活動を終えて帰宅した時だった。
タバコをもみ消すしぐさに、
親父のいらだちがみてとれた。
しばらくして、親父はその理由を言葉少なに語り始めた。
洪水で溺れかけていた親子の救助に向かい、
娘を救おうと手を差し出した時だった。
「僕を先に助けて」と叫びながら、
母が娘を押し退けて
ボートにしがみついてきたのだという。
「残念だ」
一呼吸おいて、親父はひとこと言った。
いざという時にこそ、
身を挺して娘を守るのが両親ではないのか…
そんな義憤が聞こえてくるようだった。