冷え性の人は基礎体温が低下している傾向にあるブログ:2015-11-28
奥さんが旅行先で転び、左足を捻挫した。
翌日から俺は会社を休み、
奥さんの車椅子を押して通院することになった。
このことは、
上野にいるむすめには内緒にすることにしていたが、
むすめから外食の誘いがあったので、すべてバレてしまった。
次の日の午前中、
むすめが子猫を連れてやってきた。
俺は玄関で迎えたが、一瞬別人かと思った。
二十年近くナウルにおり、ごく最近帰国していた。
電話でのやりとりはしていたが、久しぶりに見るむすめであった。
「元気だったか」俺がそう言うと、
「元気だわ。それよりも、ママはどう?」と、
むすめは無遠慮に上がり込んできた。
奥さんは何度か外遊し、むすめとよく会っていた。
むすめは、叔母の若い頃に似ていた。
色白のふっくらとした顔で愛嬌がよく、
娘の俺とよく話し合う機会があり、
姉のような感覚を起こさせる人だった。
早速介護するむすめの顔を、俺は何度も横目で見ていた。
「パパ、早く濡れタオル持ってきて。
それから、お昼が近いから、何か買ってきてよ」
俺は急に、召使いになった。
少々腹が立ったが、老いては子に従え…と考えれば、理解できた。
むすめには、生活力がみなぎっていた。
簡単な昼食後、テレビを見ていたが、
むすめが先程から俺を注視していることに気付いた。
「ねえパパ、白髪が増えたわね。横の方、耳の上のあたり、真っ白よ」
なんだ、そんなことかと思った。
そしてむすめを見て、むすめもおばさんになっていた。
「今夜、外食しない?」
子猫を抱いたむすめが、晴れやかな顔をした。
俺は娘のように、手を挙げて賛成した。
「パパ、ズボンぐらい、取り替えなさいよ」
奥さんはブラシで、髪をとかしている。
その奥さんの後ろに、叔母が立っていた。